2016年10月19日水曜日

高電圧で回るモーター (フランクリンモーターの応用)

高電圧発生装置を使って、フランクリンモーターの変形版を作ってみました。

高電圧発生装置の作り方は
http://eneene7.blogspot.jp/2016/10/blog-post.html
こちらを参照して下さい。

材料を切り出します。(サイズは適当で構いません。)
・木材 (20cm×8cm、0.8cm角×8cm 2本) 
木材部分は発泡スチロール他 どんな素材でもOKです。
・塩ビ板(硬質カードケース利用) (直径10cmの円形、0.8cm×5cm 2枚)
・発泡スチロール棒 (2cm角×6cm 2本) 木材でもOKと思います。
・ストロー (2cm 2本)
・リード線 (5cm 2本)
・アルミ箔 (1cm×5cm 2枚)

円形の塩ビ板の中心に待針を刺して、
周囲に12個のクリップを等間隔に挟みます。
(隣のクリップと接触させないよう、5mm以上は間隔をあける。)

0.8cm×5cmの塩ビ板の上の方に穴を開け(一つ穴パンチ利用)
木柱にセロテープで貼り付けます。
貼るときに、穴の位置を0.5~1mm程度、上下にずらしておきます。

木板の真ん中あたりに木工用ボンドで貼り付けます。
間隔は、待針の長さより5~10mmほど短めにします。

ボンドが乾いてから、②のローターの待針を
塩ビ板のパンチ穴に挿入します。
0.5~1mm程度高い方の柱に待針の球形部分を、低い方に針の部分を挿入します。
写真のように ほんの少し斜めになって待針の球で支える感じです。


電極を作ります。
アルミ箔 (1cm×5cm)の端の方にリード線 (5cm)の
被覆をはがした部分をテープで貼り付けます。


これを発泡スチロール棒 (2cm角×6cm)の上部にテープで貼り付けます。
アルミ箔の先の方は少し丸めておきます。


アルミ箔とクリップの間隔が1mm程度離れるように
両面テープで⑦を木板に貼り付けます。


高電圧発生装置を繋ぐときは
接続箇所に長さ2cmのストローをかぶせて、
接触しても衝撃が起きないようにしておくと安心です。

これで完成で~す!

トグルスイッチを入れ、最初 手で少し回すと、回転を続けます。



<注意する点>
① 
回している途中で電極の調整をするときは、
絶対に手で触らないで、ストローを使用して下さい。


トグルスイッチを切っても、コンデンサに電荷が残っているので暫く回転を続けます。
回転が終わってもまだ電荷が残っているので
電極に触る場合は放電をさせてからにしましょう。


<「高電圧で回るモーター (フランクリンモーターの応用)」の自由研究>
回転する原理は静電気で回る「フランクリンモーター」と同じです。

高電圧発生装置のコンデンサのカソード側から電極(アルミ箔)に負電荷が移動し、
電極と接触したクリップに負電荷を受け渡します。
すると電極、クリップともに負に帯電するので、
クリップはアルミ箔に反発して逃げようとします。

少し離れたところには、コンデンサのアノード側に接続された電極があります。
クリップの負電荷はアノード側の電極に引き寄せられます。
電極間の電位差は大きいために
大きな運動エネルギーを得て、回転をします。


静電気で回る「フランクリンモーター」はこちらをご覧ください。
http://eneene7.blogspot.jp/2016/01/blog-post_35.html





これ以外の実験や工作も掲載していますので、
こちらも見てみて下さい。




2016年10月16日日曜日

高電圧発生装置で 「ムーアのモーター」

高電圧発生装置を使って、「ムーアのモーター」を作ってみました。

高電圧発生装置の作り方は
こちらを参照して下さい。

プラスチック製のトレーに幅5mmのアルミテープを貼ります。
(今回使ったトレーは、ポリプロピレン製、サイズ:φ203×49Hmm ダイソーで購入したもの)

色分けしてみました。
赤同士、青同士はそれぞれ繋がった状態です。
赤、青それぞれに電極として 長さ3cm程度のリード線をテープで貼っています。

トレイの中で動く球を作ります。
ダイソーで販売されてる「しっかりビーズ」を使用しました。
しっかり入っていますが、使うのは10個くらい・・・

アルミ箔を適当な大きさに切って、1個ずつ巻いていきます。


岐阜高校の村田先生は仁丹を使っておられました。
仁丹の方が、手軽で良さそうですね。

 ⑤
①を高電圧発生装置に繋いで、トレーに④を入れます。
トレーの真ん中に、プラスチックコップをカットしたものを置いています。

これで完成で~す!
トグルスイッチを入れると球が動き始めます。


<注意する点>
① 
動かしている途中はトレーに貼ったアルミテープや電極には
絶対に触らないで下さい。


トグルスイッチを切っても、コンデンサに電荷が残っているので暫く動き続けます。
動き終わってもまだ電荷が残っているので
アルミテープや電極に触る場合は放電をさせてからにしましょう。



高電圧発生装置で 「ムーアのモーター」の自由研究>
高電圧発生装置のコンデンサのカソード側から送られてきた負電荷は、
上の作り方の②の青のアルミテープへ移動して負に帯電します。

アルミ箔を巻いた球が青のアルミテープの上を通過すると
負電荷を受け取って負に帯電します。
アルミテープ、球ともに負に帯電するので、
球は反発して青のアルミテープから離れます。

すぐ隣には正に帯電した赤のアルミテープがあります。
青と赤のアルミテープの電位差が大きいため、
その電位差(位置エネルギー)を運動エネルギーに変え
大変速く移動します。



これ以外の実験や工作も掲載していますので、
こちらも見てみて下さい。




2016年10月13日木曜日

高電圧で回るモーター (ハミルトン風車の応用)

高電圧発生装置を使って、ハミルトン風車を作ってみました。


高電圧発生装置の作り方は
http://eneene7.blogspot.jp/2016/10/blog-post.html
こちらを参照して下さい。

材料を切り出します。(サイズは適当で構いません。)
・木板 (10cm角)
・筒型ペットボトル (高さ7cm ここではCCレモン1.5Lを使用)
・塩ビ板(硬質カードケース利用) (1cm×7cm )
・針金 (0.7mmφ×2cm 2本)
・ストロー (2cm 2本)
・リード線 (赤 5cm 黒 10cm )
(黒の方は片側3cm程度被覆をはがす。黒のもう片方と赤の両方は1cm程度)
・アルミテープ (1cm×28cm 、2cm×7cm)
・丸くぎ(75mm)、アルミキャップ(ステンレス製でもOK)

丸くぎ(75mm)の頭の方に、黒色のリード線(被覆を3cm剥がした方)を巻き付け
セロテープで貼り付けます。
くぎの頭を木板(10cm角)の真ん中に接着剤で貼り付けます。

カードケース(1cm×7cm) の両面にアルミテープ(2cm×7cm )を貼り、
真ん中にパンチで穴を開けます。


両端に針金 (0.7mmφ×2cm)を置いて、セロテープで貼り付けます。


③の穴にアルミキャップを入れ、くぎにかぶせます。

筒状のペットボトルの上の方にアルミテープ (1cm×28cm)を貼ります。
アルミテープに接触するように赤のリード線を貼ります。
ペットボトルの下の方の適当なところに穴を開けておきます。


⑤を④の上に置き、黒のリード線は下の穴から出しておきます。


高電圧発生装置を繋ぐときは
接続箇所に長さ2cmのストローをかぶせて、
接触しても衝撃が起きないようにしておくと安心です。
(上部のアルミテープの方が危なそうですが・・・)

これで完成で~す!

トグルスイッチを入れると回り始めます。


正極と負極を入れ替えると回転しません。

<注意する点>
① 
回している途中は上部に貼ったアルミテープや回転体には
絶対に触らないで下さい。


トグルスイッチを切っても、コンデンサに電荷が残っているので暫く回転を続けます。
回転が終わってもまだ電荷が残っているので
電極に触る場合は放電をさせてからにしましょう。



<「高電圧で回るモーター (ハミルトン風車の応用)」の自由研究>

高電圧発生装置のコンデンサのカソード側から送られてきた負電荷(電子)は、
くぎ~アルミキャップを含む回転体へ送られます。
電気は先の尖ったところから放電しやすいために(尖端放電)
電子は針金の先端から飛び出し、
その反作用で回転体は今回の装置では反時計周りに回転する!?
と思いそうですが、
電子そのものが飛び出しているのではなく、
高電圧により、先の尖った部分の周囲の空気分子が電離してイオン化し、
負イオンが正極に引き寄せられることで
回転するのだと思います。

私の装置では、針金の先端のすぐ近くに、
コンデンサのアノード側に接続されたアルミテープがあります。
カソード側とアノード側の電位差は大きく、
その電位差を運動エネルギーに変えるために大変速く回転します。


(アノード側とカソード側の電位差が大きいほど、距離が短いほど速く回転します。)




これ以外の実験や工作も掲載していますので、
こちらも見てみて下さい。




2016年10月11日火曜日

「写ルンです」とコッククロフト・ウォルトン回路で高電圧発生装置

「写ルンです」のフラッシュ回路で乾電池(3V)から交流(約800V)を発生させ、
さらにコッククロフト・ウォルトン回路で6400V(計算上)の直流にまで昇圧させるという実験です。


(コッククロフト・ウォルトン回路でなぜ段数に応じて昇圧できるのか?
このページの下の方に考察もしています)

約6400Vってかなり危険じゃないの?と思いますが
電流はかなり少なく、人命に影響を及ぼすことはありません。
ただ、さすがに電圧が高いため、触ると大きな衝撃があります。

作品が出来上がってからよりも、カメラを分解する過程で
電解コンデンサに多くの電荷がたまったものを触るとかなり危険です。
(電解コンデンサ100uFは今回使用するセラミックコンデンサの約1万~100万倍の容量です。)
①分解前には充電用のスイッチを入れない。
②電解コンデンサをショートさせてから基板に触れる。(やり方は下記参照)
必ずこの2点には注意して下さい。

使い捨てカメラ「写ルンです」です。

まず、ラベルの上部と下部にカッターナイフで切り込みを入れます。

下の方には電池が入っているので、抜き取ります。

カメラはネジ留めではなく、はめ込みになっているので、
爪の部分にドライバーを入れて、こじ開ける感じです。

ふたが開きました。

まずコンデンサをショートさせます。
下の写真のハンダ2ヶ所に同時にドライバーを当てます。
もし、電荷が残っているとバチッと音がしてショートします。
電荷が残ったままだと、かなり危険なので必ずやって下さい。


基盤を本体から取り外します。
基盤の真ん中あたりに爪があるので、爪をドライバーで押して基盤を持ち上げます。

外した基盤

電解コンデンサ、スイッチ、電池のプラス側の一部をニッパなどで切り取ります。
フラッシュは裏のハンダを溶かして外します。

裏側はこんな感じです。


                回路の仕組みは
     ①ダイオード1、トランジスタ、トランスの1部で交流(発振回路)に変換
     ②トランスで約300Vまで昇圧
     ③ダイオード2とコンデンサで直流に変換
     ④電解コンデンサ(100μF、耐圧300V)を充電する。(充電が完了するとLEDが点灯)
     ⑤シャッターが押されると、トリガーコイルを経由して
                             電解コンデンサの電荷がフラッシュのキセノン管に印加され発光する。

今回利用するのは、①~②のところです。
③の直流に変換する前のところで、交流電流を取り出します。

下図①の充電用のスイッチをハンダ付けします。
クリップなどで押さえておくとハンダ付けしやすいです。

直流に変換する前のところから取り出すため、
トランス両端の②'、③' にリード線を接続してもいいのですが、
ハンダしやすいように、②と③に接続しても大丈夫です。
はダイオードのアノード側
は電解コンデンサの付いていた上側の電極です。

表側はこんな感じです。

出力電圧は単3乾電池1本を接続した場合は約300~400Vの交流、
単3乾電池2本を接続した場合は約700~800V程度の交流になると思います。
交流と言っても綺麗な正弦波ではなく、ギザギザの高周波の交流です。
(ブロッキング発振回路)

今回は単3乾電池2本を繋いで、DC3V→AC800Vとします。

次にコッククロフト・ウォルトン回路(AC800V→DC6400V)を作ります。
(計算上6400Vですが、実際にはこの半分程度の電圧かな?と思います。)

準備するコンデンサ、ダイオードは入力電圧の2倍必要です。
(今回は耐圧2kV以上のコンデンサとダイオード)
コンデンサ容量は1000pF~10000pF程度でOKです。
(もっと幅広い容量のものでも大丈夫と思いますが、試していません。)

耐圧の高いコンデンサはあまり販売されていませんが、
「高耐圧コンデンサ」などで検索するといくらか出てくると思います。
例えば、
共立エレショップ
鈴商
E-Junction
(2016年10月時点の情報です。リンク切れになっていたらすみません。)

ダイオードは耐圧1kVまでのものが多く販売されていますので、
例えば
秋月電子通商
2本直列にして耐圧2kVとします。
(順方向降下電圧分も2倍となりますが、800Vに対して2V程度なので気にしなくていいですね。)

今回は、セラミックコンデンサ(耐圧2kV、4700pF) 8個と
ダイオード(耐圧1kV) 16本で回路を作りました。


回路は下の図のようなイメージです。


部品同士を直にハンダ付けしてもOKですが
ユニバーサル基盤を使っても大丈夫です。
(ブレッドボードは耐圧が低いので、NGと思います。)


尖らせたようにハンダ付けをすると、コロナ放電をして電圧ロスが出るので
なるべく、尖ったところが出来ないようにハンダ付けします。

高電圧発生装置を露出したままにすると、
触ったときやコンデンサが破裂したときに危険なので、ケースに納めます。

スイッチと出力用のコードの穴を開けます。
ハンダごて 又はカッターナイフを熱したものなどを利用して穴を開け
やすりやルーターで研磨すると綺麗になります。
トルグスイッチはネジ留め出来るものもあります。


カメラのフラッシュ回路の基盤、電池ケース、スイッチをハンダ付けします。
カメラの基盤の右側がプラス極です。

カメラの基盤とコッククロフト・ウォルトン回路(入力端子)を接続します。
接続箇所は上の回路イメージを参照下さい。


ミノムシクリップ付きのリード線をケースの穴を通して
コッククロフト・ウォルトン回路(出力端子)に接続します。


電池を入れてふたをすれば完成です。

トグルスイッチを入れると、放電します。




以前作った 静電気振り子なども動かすことも出来ます。


(静電気実験のときは発泡スチロールで作りましたが、高電圧装置は木で作成しても大丈夫です。)


<コッククロフト・ウォルトン回路について自由研究>
コッククロフト・ウォルトン回路は段数に応じて昇圧します。
今回は4段組んだので、
入力(AC800V) × 4段 ×2 = DC6400V となります。(計算上)
実際にはそれほど出ていないと思います。

コンデンサが完全に充電されるまでは、
コンデンサC1からC2へ、C2からC3へ・・・C7からC8へと
電荷が送られていきます。

Vinが上のときは、奇数目のダイオードは順方向なので電流が流れますが、
偶数目は逆方向で電流は流れません。
Vinが下のときは、その反対になります。
C1は交流電源に繋がっているので、+-の逆転が続きそうな気もしますが、
C2が存在するために、上図のC1の右側がプラスの状態を維持します。


 どのように、C1からC2へ電荷を受け渡していくのかを考えてみます。
4段で考えると、かなり複雑になるので、1段だけにしました。
1段だけだと、倍電圧整流回路そのものになりますね。
倍電圧整流回路でなぜ2倍の電圧が得られるのかもわかります。
Vinが上になると、C1は常にqになります。
Vinが下になったときに、C1からC2に受け渡す電荷の量は
q、1/2q、1/4q、1/8q、1/16q・・・と等比数列となっていて、
その和は最終的に 2q に収束します。

こうやって見てみると、充電されるまでにかなり時間がかかりそうな気もしますが、
高周波で発振しているため、ほんの一瞬で充電されます。


では完全に充電されたときの電圧について考えてみます。
 このようにコンデンサC2の左足からC8の右足の端子間電圧は8V0となり、
入力電圧の8倍の電圧を得ることが出来ます。

(完全に充電された状態)=(電荷の移動がない状態)なので、
ダイオードで結んだところの電位は等しくなっています。
一方、上の図で省略しているダイオードには2V0の逆電圧がかかっています。

コッククロフト・ウォルトン回路の問題は
東京大学の試験問題としても出されたことがあるようです。
http://www.riruraru.com/cfv21/phys/tup11f.htm





これ以外の実験や工作も掲載していますので、
こちらも見てみて下さい。